BLOG制作する側から見るVTuberのキャラクターデザインという仕事について。

制作する側から見るVTuberのキャラクターデザインという仕事について。

ごきげんよう、手鞠鈴です。

本年もあと1ヶ月程度、毎度のことながら時の流れを早く感じる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は最近ですと映画の『地獄少女』を観に行きましてですね。二次元作品の実写版ってやっぱりマイナスなイメージが付きがちですけど、全体的にとても満足の出来るクオリティで大変良かったです。特に玉城ティナさん演じる閻魔あいさんは能登麻美子さんを意識したという喋り方も相まってとても美しかったですよ。ご興味があればぜひ一度ご覧くださいませ。

では前置きはこのくらいに、今回は久しぶりにまじめっぽい記事をやってみようと思います。

制作する側から見るバーチャルYouTuberのキャラクターデザインという仕事について。

私、手鞠鈴は2018年2月にバーチャルYouTuber(以下、VTuber)『NaiA – ナイア』さん、2019年7月には『nAI-chan – ナイちゃん』のキャラクターデザイン(以下、キャラデザ)を担当させていただいたのですが、2019年10月よりご縁がありまして名ばかりではございますが、お二人の活動プロジェクト『NaiA_planet』の主宰を務めております。

きっかけとしては、お二人が活動としていた拠点、いわば運営サイドが解体されることとなり、ナイアさん、ナイちゃんについては拠点解体と共に引退、となっていたところを、デザインした側(つまり雇われていた側)の私が引き取るという割と珍しい? 流れから現在の立ち位置となりました。

※ 2020年1月16日追記
上記運営サイドの解体が2019年12月に取り止めとなったことに伴い、手鞠鈴とナイちゃんがプロジェクトから離れることとなったため、2020年1月16日付で『NaiA_planet』は解散となりました。

新体制を告知した際のツイートです。もう2ヶ月くらいになるんですね。

一応立場的には良い立ち位置をいただきましたので、記事を読まれている方の中には「運営になると知名度とかお金の面とかいろんなVTuberさんと交流できるとか、良いこと結構あるんじゃないですか」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ぶっちゃけ良いことなんてほぼほぼないというのが現状です。

とはいえ、こういう状態になることは想定内だったので別段問題ではないんです。ではどうしてこういう状況になることが分かっていてまで運営を引き継いだかというと単純に「ナイアさんとナイちゃんに生きててほしいから」というのが理由のほぼすべてです。

先ほど運営になって良いことはないですよと言いましたが、ナイアさん、ナイちゃんが毎日楽しく活動して、それがファンの方にも喜んでもらえることが自分にとっては一番良いことだと考えていましたので、逆に言えば「こういう風になったら良いな」と考えていた状況には既になっているわけですね。

こちらがNaiAさんとnAI-chanです。お二人とも可愛いでしょう?(熱い自画自賛)

こちらがNaiAさんとnAI-chanです。お二人とも可愛いでしょう?(熱い自画自賛)

恐らく通常のキャラデザのお仕事だったなら、上記のように私が運営権を所有する、なんてことにはならなかったでしょうが(もともとの性格的に運営は向いてないので)、今回こういった流れとなったのはひとえに「VTuberのキャラデザをしたから」という側面が強いからだと思います。

最近になって、というより2019年は「VTuberのキャラデザをやってみたい」と仰るイラストレーターさんをたくさん見かけるようになりましたが、別段数多くキャラデザの仕事をしているわけではない私でも、まだまだ業界自体が発展中であることもあってか、VTuberのキャラデザという仕事は特殊な内容、というより普通ではあまり想定しないであろう問題で悩むこと、考えることがでてくる仕事ではないかなと考えています。

そんなわけで今回は、VTuberのキャラデザをやってみたいイラストレーターさん、そして、VTuberのファンの方、でもってこれからVTuberになりたいと思っている方、既になっている方に向けて、ただのキャラデザ担当から運営サイドにまでなった私が考える「VTuberのキャラデザの仕事ってなんだ?」についてつらつら書いていこうと思います。主に技術面より精神面の話が多くなりそうな気がしますけれど……。

ちなみに今回は、ありがちな「本題に入る前にそもそもVTuberって?」といったすこぶるどうでもいい説明書きはすっ飛ばして話をしていきますので、ある程度VTuberに理解がある前提でお話ししていきます。

  • 本記事では、バーチャルYouTuber、バーチャルライバーなど、バーチャルの世界で活動している方のことを総称で『VTuber』と呼ばせていただきます。
  • 本記事では「中の人」、「前世」、「転生」など、VTuber界隈でセンシティブとされているキーワードがふんだんに出てきますので、苦手な方はご覧にならないことをおすすめいたします。
  • 本記事は特定の個人、団体を誹謗中傷するものではなく、あくまで手鞠鈴の個人的な意見を述べた内容となります。あらかじめご了承ください。
  • 本記事を読んで手鞠鈴のことは嫌いになっても、ナイアさん、ナイちゃんのことは嫌いにならないであげてください。

目次

  • VTuberをデザインする上で考えておくと良いかもしれないポイント。
  • 「VTuberの親になりたい」って言葉の意味合いって?
  • キャラデザした後どこまで関わっていくか。
  • 生んだキャラクターが自分の考えていたものと別人になっていく苦悩。
  • キャラクターの「引退」、そして「転生」に関する苦悩。
  • 今後のVTuberデザインってどうなると思います?
  • 〆だよ。

1:VTuberをデザインする上で考えておくと良いかもしれないポイント

前書きのとおり、本記事は割と精神面の話が多くなることが想定されますのでまず、「キャラデザのやり方とか考え方とかについて聞きたい」という方のために、ナイアさん、ナイちゃんのお姿を考えた時の例を踏まえながら、それとなくキャラデザをするうえで意識しておくと良いかも? なポイントを挙げていきたいと思います。デザイン的な話が聞きたいよという方はここだけ読んでおけば事足りますので、それ以下は無きものとしてください。

Live2D、3Dで動くことを意識したデザイン。

VTuberはバーチャルな存在なので、現実的にぶっちゃけありえない! なデザインでも「バーチャルですからオッケーです」のような認識で好き勝手デザインしていただいたら良いかなと私は考えるのですが、場合によっては「このデザインは難しいです」という場面に出くわすことがあります。

例えばナイアさんで言えば、首周りにアイテム(これといった名称がないのでとりあえずネックウォーマーみたいなものとしましょう)が付いているのですが、実は最初期のデザイン案では首元から肩回りまで隠れるようなデザインをしていました。

ところが、ナイアさんの3Dモデルを制作する際に「このデザインだと腕を上方向に動かした際、アイテムに肩がめり込んでしまう」などの理由で現在のデザインに変更となったことがありました。Vtuberのデザイン、特に3Dで活動するキャラクターで肩出しが多いのは、3Dになった際のアニメーションのしやすさを重視しているから、みたいなところがあるようです。そう考えるとキズナアイさんや四天王と呼ばれる方々がデビューしたあたり時代のデザインはとくにその傾向が出ているような気がしますね。The VTuberデザインって感じです。

また、Live2Dでも体の動かし方によってはこのパーツにこのパーツがめり込んでしまう、なんてこともあるでしょうから、二次元的なデザインの考え方でなく、三次元的な捉え方でキャラデザを検討すると後々トラブルが少なくなって様々な面でプラスに事が運ぶかもしれません。

こちらがデザインの比較です。今の方が親しみやすさがあるかと思いますが、デビュー当時の野暮ったい感じも気に入っています。

こちらがデザインの比較です。今の方が親しみやすさがあるかと思いますが、デビュー当時の野暮ったい感じも気に入っています。

ユーザーさんがよく見るパーツとよく動くパーツに対応するアイテムの関係性を考えたデザイン。(Live2D向け)

Live2DモデルのVTuberさんの配信で画面上に映るのは主に上半身であることが大半ですが、その中でも特にユーザーさんがよく見るパーツといえばやっぱり頭周りかと思います。(部位で言うと目や口、髪とかですかね。女性なら顔以外にお胸もよく見られているでしょうけれど)。

デザインによってはナイアさんやナイちゃんの髪飾りよろしく、頭周りに帽子やカチューシャ、イヤリングなど様々なアイテムが付くVTuberさんもいらっしゃいますが、頭(顔)は特にアニメーションを豊富につけたり、可動域が広かったりといった傾向にあるので、アイテムが多くなるとその分モデルの作成に手間がかかる場合があります。

私のように自分がデザインしたVTuberに自らLive2Dのアニメーションを付ける場合は別ですが、もし外部の方に作業を依頼する場合、アイテム数や差分の作成数によって制作費用が変わってくることが多いため、気になる方は注意しておくと良いかもしれません。

逆に言えば、腰から下にかけてなんかは配信で映すことがそんなにないので、そういった部分を細やかにデザインすると華やかで良いかもしれません。おしゃれは足もとから、なんて言葉もありますしね。

ナイちゃんで言うならこの辺のパーツがどうアニメーションするのか考えないといけないですね。

ナイちゃんで言うならこの辺のパーツがどうアニメーションするのか考えないといけないですね。

ファンアートやアクセサリーなど、創作物の作りやすさを想定したデザイン。

今ではもう当たり前となっていますが、VTuberの大きな特徴として「ユーザーさんが作った二次創作にVTuber本人から反応してくれることが多い」というものがあります。自分の好きな推しが自分の作った推しへの創作にアクションを起こしてくれるって割とすごいことだと思います。ちょっとしたことでも創作意欲って変わってきますし、そういった点でのファンとの距離感はとても新鮮ですね。

そんな際、ここは個人的な意見ですが、二次創作をやっていると時折「この子の絵描くのカロリーたけぇ……」みたいな状況に出くわすことがありますがそのような感じで、デザインで複雑なパーツがあったり、ここの構造どうなってるの? のように作りがよく分からないものがあると、ファンアートやアクセサリーなどの創作物を作りたいと考えるユーザーさんにとってそれがハードルとなる可能性があるかもなと考えています。

別にそういったことを意識してデザインをしなくても全然問題ないのですが、創作物の数が増える=キャラクターを知ってもらえるきっかけが増えることに繋がる場合もありますので、そういった点を踏まえてデザインしてみても面白いかもしれません。例えば、キャラクターを象徴するようなアイテムなんかを持たせてみるみたいなのでも良いかもですね。

ナイアさんで言うなら、以前ファンの方に実物を作っていただいたこともある髪飾りが特徴的なアイテムですかね。

ナイアさんで言うなら、以前ファンの方に実物を作っていただいたこともある髪飾りが特徴的なアイテムですかね。

……といった感じで、以上が、個人的に考えるVTuberのデザインを考える際に押さえておくと良いかもなポイントですね。私の想像も数多く含まれていますので、それとなーく、やんわーりでお考えいただけたらと存じますが、少しはVTuberの親になるための参考となりましたかね?

……ん? 親になる? キャラデザする、ではなくて?

2:「VTuberの親になりたい」って言葉の意味合いって?

前書きにも書いたのですが、2019年に入ってから各所で「VTuberのキャラデザをやってみたい」や「VTuberのキャラデザをするのが夢」といった言葉を見かけることが多くなりました。

私がお話をいただいてナイアさんのお姿を見繕ったのは2018年2月でしたが、その時には先ほどのような言葉は見かけたことがなかったので、いかにVTuber界隈が浸透してきたかが分かります。

そんな中、界隈としてはもはや常識のようになってきていますが、VTuberのキャラデザをすることを「VTuberの親になる」と言いますよね。私もナイアさん、ナイちゃんのファンの方からは「手鞠パパ」と呼ばれることがありますし、もう「VTuberのキャラデザ=VTuberの親になる」という脳内変換が界隈では行われているのではないでしょうか(この「親」という概念に疑問を持たれている方も多いとは思いますし、逆にキャラデザって言うな勢もいらっしゃるので何とも言えない状況)。

ですので、どちらかというと最近では「VTuberのキャラデザをやってみたい」ではなく「VTuberの親になりたい」と仰る方を見かけるようになりましたが、私的にはこの「親になりたい」という言葉に多少なりとも違和感がありまして。

というのも親になるだけなら自分次第でいくらでもなれそうじゃない? という気持ちが出てくるからなんです。

7月にもこんなことをつぶやいていたり。

上のツイートのように、正直なところVTuberの親になる「だけ」なら割と簡単になれると思うんです。例えば、以下のような工程を行えば、親になるという目標は達成できるわけです。

  • VTuberのキャラデザを考える
  • キャラデザを基にLive2Dモデルや3Dモデルをつくる
  • 魂(中の人)を募集する
  • 魂決定、その他もろもろ準備
  • VTuberが活動を開始、そして親になる

ね? 簡単でしょ?

実際にこういった流れでVTuberの親になっている方も少なくありませんが、恐らく多くの方が言っている「親になりたい」というのはそういうことではなくて、私の主観ですが「VTuberの親になりたい」の言葉の前に「VTuber事務所や運営企業で活動する」がついて「VTuber事務所や運営企業で活動するVTuberの親になりたい」が正解なんじゃないかと思います。分かりやすいところで言えば、にじさんじさんやホロライブさん、.LIVEさん、IRIAMさんなどで活躍するVTuberの親になりたい、ですね。

純粋にVTuberが好きだから親になりたいんです、という方には失礼な物言いとなりますが、単純に「親」になりたいなら、前述の親になる過程を踏んでいけば良いわけで、世にあふれる大方の「親になりたい」という言葉は「キャラデザの仕事が欲しい」だとか「なにかイラストレーターとしての実績が欲しい」というのをマイルドにした言い方と考えても良いのではないかと思います。

以前、私は知人から「手鞠さんはVTuberのキャラデザをやるっていう実績を解除してるもんね」と言われたことがあるのですが、まだまだVTuberに関心が無かった時代にキャラデザをやった私からすると、「なるほど、キャラデザの仕事のカテゴリに今は『VTuber』が含まれるのか」と妙に感心してしまって、それなら一昔前のボカロブーム時にイラスト界隈でたくさん見かけた「ボカロPVのイラストを描いてみたい」と同じように、イラストレーターとして流行のコンテンツに関わっているといういわゆる「拍」としてVTuberの親ポジションになりたい方も多いのではないでしょうか。

歳がばれますね。

もちろん、創作でお仕事をしてお金を稼ぐことについては全然問題ないんです。ですが、そこに「親になる」という言葉が来るから違和感が凄い。そりゃあ自分の子どもが生まれるようなものですから、キャラデザを考えている時点ではうきうきわくわくする場面も多いと思います。ですがキャラデザが出来上がることがVTuberのゴールではありませんよね。この自分が生み出した「子」にどこまで関わっていくのか考えなければなりません。

3:キャラデザした後どこまで関わっていくか。

先ほども申しましたとおり、ひとくちにキャラデザといってもキャラデザだけではとどまらない事情がVTuber界隈では多くみられると思います。VTuber活動はキャラデザが出来上がることがゴールというわけではありません。もちろん企業さんや魂さん次第ではキャラデザをした時点でお仕事終了、となる場合もあるかもしれませんが、そこで終わりということになるケースって少ないかもしれません。

例えば、Live2Dで動くVTuberなら、キャラデザを基にパーツ分けを行うこともあるでしょうし、なんならアニメーションを付けるところまでお願いされる可能性もあります(依頼でキャラデザを担当したら、依頼者的にはLive2Dでアニメーションを付けるところまでがキャラデザと認識していてのちのちトラブルになる、みたいなこともあるそうです)。

また、デビュー時の紹介用のイラストであったり、動画配信用のサムネイル向けイラストであったりを作成する場面もあるでしょうし、場合によってはグッズ向けのイラスト、イベント用のイラストなどのお仕事が出てくる可能性もあります。もしかしたらVTuberさん側から配信画面レイアウト、コメントの表示デザインなどイラストとは関係のないビジュアル類の相談を受けることもゼロではないと思います。中には平気で「キャラデザをしたんだからサムネ用にイラストくらい作ってくれますよね?」と要求される方もいるそうですし、稀に「配信環境が分からないので設定について教えてほしい」と言われることもあるそうな。

私は元々デザイナーですし、運営として知らないことは知っていかなければいけない立場ですから、サムネイル制作やその他コンテンツの制作については全く苦を感じないわけですが、イラストレーション以外のことはからっきし、のような方は辛い場面が出てくる可能性も十分あり得ます。単純に「出来ません」と言えればいいんですけど、自分の生んだキャラクターに愛着を持ちやすい方だと「自分の生んだ子が助けを求めてる」のように考えて断りづらいなんてこともあり、想定していなかった作業に苦悩する場面も出てくるのではないでしょうか(もちろん作業が発生した際はそれなりの報酬を要求できるかと思いますが)。

自己紹介動画まで編集しちゃうくらいにはイラスト以外のことについても楽しく作っていますよ(唐突な身内の宣伝)。

VTuberのキャラデザできたぞやったー! で終わりではなく、かなり長いスパンで作業が発生する可能性がありますので、自分のスケジュール感に合わせてどこまでやっていくか事前に考えておいた方が良いかもしれません。

……以上の内容を読んで「キャラデザの時点ではたくさん考えることはあると思うけど、デビューしちゃってある程度すればそれなりに企業さんやVTuberさん側でなんとかしてくれるのでは?」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。ところが私個人としてはここからが最大のネックといいますか、VTuberのキャラデザで一番悩ましい点は「自分の生んだキャラクターが外的要因でどんどん壊れていく」可能性を持っているところなんです。

4:生んだキャラクターが自分の考えていたものと別人になっていく苦悩。

キャラクターというのは大小あれ、何かしらコンセプトがあって生まれてくると思います。単純に可愛い、カッコいいでも良いですし、主人公のライバル、幼馴染、ラスボスなどなど。そんな様々な性格、立ち位置のキャラクターをストーリーや世界観に沿って作り上げていくのがキャラデザというお仕事です。中には「あの時のキャラの性格変わってない?」みたいな時もありますが、VTuber界隈ではそういった「見た目や設定に関係なく、当初の想定と違うキャラになっている」事象が蔓延しているように感じるのです。

企業さんや魂さんの要望ありきでキャラクターが考えられている場合は別ですが、例えば当初の設定ではおしとやかで謙虚な性格とされていたVTuberが蓋を開けるとさばさばした元気系だった、みたいな感じで(特定の人を言っているわけではないですようん)、VTuberのキャラクター性は見た目の印象や設定に関係なく、結局最終的には魂となる中の人次第になってきているように感じます。

VTuber黎明期では様々なキャラクター性に沿ったいわゆるRP(ロールプレイ)が盛んにおこなわれていたように記憶しておりますが、ここ最近のVTuberは生放送がメインとなってきていることもあり、キャラクターの設定についてはほんの少しかじる程度で、あとは全て中の人の生い立ち、プライベートで構築されているVTuberさんが大きな割合を占めているのではないでしょうか。完全RPで活動ができているVTuberって全体の何割やねんっていう感じです。過去にRPを行っていたVTuberさんも最近ではどんどん素を出していってますし。その方がウケは良いとは思いますが。

いまだによく分かっていない。

また、魂ありきのキャラクターとなってきますから、見た目ではなく魂の性格に沿ったファンからのキャラ弄り、はたまた魂自体からの見た目、身体的特徴に関する弄りなどが起こりえます。ネタとして消化できる人は大丈夫かと思われますが、中には「そんなにキャラクターをいじめないで」と悲しくなる方もいるでしょうし、場合によっては自分の生んだキャラクターが誰かに暴言を吐いたり、活動が上手くいかず悲しんだり、といった場面を見ることになることもあるかもしれません。

もちろん、VTuberさんのリアルなトークやエピソードを拝聴するのは大変楽しいですし、自分の考えたキャラクターが生きているかのようにSNSや配信上でふるまってもらえるのは本当に新鮮で面白いことです。

「この見た目でこういうことを喋っているのが面白い」という一定のユーザー層もいらっしゃるでしょうから、前述のように「ネタ」としてメリットを見出していければ問題ないのですが、それでも、やっぱり、キャラクターがかけ離れていくといつかどこかで「私が一生懸命にキャラ、なんだったの?」という疑問がふと付きまとう可能性はゼロではないかと思います。特に自分の作ったキャラクターに愛着を持ちやすい方にとっては負のスパイラルに陥りやすいかもしれません。

……でも良いんです。そういうことは他の業界でもあることではないですか。硬派なイメージから一転バラエティー番組ではお茶目な一面を見せる俳優さんがいるようにそれぞれ個性はあるでしょう。生んだキャラクターの色々な一面が見れて良いではありませんか。

しかし、これはキャラクターが元気に活動している場合の話。そう、生きている場合の話です。

5:キャラクターの「引退」、そして「転生」に関する苦悩。

話題に見ない日の方が少ないのではないかというくらいにVTuber界隈では「引退」の2文字をよく目にします。一時期大手や古参の引退が続いた際は「引退ブーム」のような文字も見かけて頭を抱えたものでした。

VTuberの引退理由は企業側が「VTuber事業は難しい」と見切りをつけた場合、魂の体調やプライベート面で不都合が生じた場合、時には残念なことにもうVTuberをやる気がなくなった、界隈が嫌いになったなど様々あるかと思いますが、やっぱり誰かがいなくなるというのはどこか悲しいものですよね。

かく言う私の生んだナイアさん、ナイちゃんだって、ひとつ違えばもう今は活動を行っていないわけですから、本当にこの引退というのは身近なところにあるなと感じています。

でも、引退というのは「キャラクター」にとってはまだ救いのあるものかな考えられます。例えば、漫画、アニメなどの場合はストーリーの都合上キャラクターが亡くなって退場となったり、物語が完結すれば今後キャラクターの新たな一面をみられなくなったりしますが、VTuberの引退はこのケースに近いものと捉えてよいかと思うのです。

先ほどの題目4でさんざん魂批判のように捉えられても仕方のない文章を書いていた私が言うのもなんですが、VTuberとしては活動を終了しても、魂つまり中の人は生きているわけです。心が生きているわけですからキャラクターの姿は見えずとも、それとなく「生」というものは引退後も感じることができるんですよね。もしかしたら某大手のVTuberさんのように卒業から復活、なんて可能性だってあるわけですから、それとなく希望をもつことができます。

しかし、最近になって「転生」の話題が目立つようになってきました。以前私が「最近のV界隈は、強くてニューゲームって感じ」とTwitterで呟いた際は「以前からそうですよ」とご意見をいただいたこともありましたが、それは恐らく「バーチャルの姿になる前の前世からの転生」のことを指しているのだと思います。私の言う強くてニューゲームは「VTuberからVTuberへの転生」、つまりキャラクターからキャラクターへの器の乗り換えについて頭を悩ませていた際に出てきた言葉でした。

今もそんな感じな気がします。

VTuberからVTuberへの転生……理由は様々あると思います。例えば企業に所属していたVTuberさんが企業のVTuber事業終了に伴って以前の身体が使えなくなったため、個人勢として新たな身体で再スタートという場合もあるでしょうし、単純に別の姿の方が自分のやりたいことができそうだから身体を入れ替えようということもあるでしょう。はたまたシンプルに、企業に所属していたけれど運営やお給料に不満があるからこれまでのファンを引き連れて個人勢として新しい身体で稼いでいこう、みたいな方もいらっしゃるかもしれません。VTuberを職業ととらえるなら、転生は「転職」みたいに考えるとわかりやすいかもしれませんね。

そう考えると転生自体はそれほど悪いことではないのかなと思えます。良い環境で楽しく活動できるのであれば、ぶっちゃけ私もそうゆう風にやっていく可能性が高そうです。「私たち入れ替わってるー!?」のような身体の入れ替わりイベントでは「やっぱり自分の身体が一番」という言葉が使われますが、現実で同じような出来事が起こっても場合によっては「自分の身体が一番」とはあんまりならないのではないかと考えるわけです。今の自分よりも見た目が良くて、周りに有益な知人がいて、楽して暮らしていけるなら、身内や親友なんて捨てて、新しい自分で生きていく選択をする人、多いのではないでしょうか。そんな雰囲気が今のVTuber界隈にはあるように思います。新しい身体でやり直しができる業界ってところもVTuber界隈の面白いところかもしれません(転生前に関わっていたVTuberさんとはコラボしづらそうですが……)。

しかしそれは魂側や魂のファン、そしてその魂とファンを獲得できる運営目線で考えた場合のメリットで、キャラクターのファン、キャラデザを担当した人、そして何よりキャラクターからすれば、転生というのは引退とは違い、「キャラクターが再活動する」という望みをほぼゼロにされる出来事なのです。

転生でも引退と同じく魂は生きているわけですし、別の姿でもまた元気に活動してるところが見れるから良いじゃないという心はもちろんあるのです。しかしキャラクター目線で考えたなら、自分の姿を捨てて、空っぽにして、魂だけ、心だけが新たな生をスタートするわけです。つまりもう魂が、心が自分の身体に宿る可能性をほぼ失ってしまうことになります。キャラクターにとって転生とは自分を生かしていた心自体から実質の「死」を突き付けられるに等しい行為と言ってもいいかもしれません。

キャラデザを担当した生みの親、キャラクターのファン中にも同じような気持ちを抱いてしまう方がいらっしゃるのではないでしょうか。新しい活動を応援したい気持ちもありながらどこかで、「あの子(私の子)」にこの魂はもう戻っては来ないんだな、「あの子(私の子)」のままでいてくれはしないのだな、と。私も同じ状況になったなら、多分きっとものすごく、悲しいと感じると思います。


……デザインの話題からだいぶ逸れてしまいましたが、VTuberのキャラデザというお仕事では題目3、4、5のような悩みが起こりうるということです。つまり、生みの苦しみとは別に生んだ後の「生かす苦しみ」が付きまとうのです。もちろん、アニメや漫画などの創作物でも、キャラクターを活かすことに悩むことがあるでしょうが、VTuberの場合は「活かす」ではなく「生かす」なのです。

「生かす苦しみ」なんて普段イラストレーションでご飯を食べているよというような人の中でも「何言ってるのかさっぱりわからん」と仰る方がいらっしゃるかと思います。ですが、自分がお腹ならぬ頭を痛めて生んだ子が自らがコントロールできないところでぞんざいに扱われたり批判されたりするのは想像以上のストレスがかかります。私もNaiA_planetの前体制で行われたいくつかのムーブで滅茶苦茶悩んだことがありますし、何なら一度プロジェクトから抜けた方が良いかもしれないとまで考えたこともありました。私は現体制のナイアさん、ナイちゃんのお二人に大変恵まれておりますが、企業さんや魂さん次第では上手くいかないからキャラクター引退、なんなら転生しちゃおうだなんてことが行われているわけで、その絶望感たるや考えたくもありません。

キャラデザをすることよりも、そのあとキャラクターの活動が始まった後の方が大変、ビジネス的に言うのであれば、イニシャルコストではなくランニングコストがめちゃくちゃかかる。VTuberのキャラクターデザインという仕事はそんな、ながーーーーいお付き合い、の中で生じる問題や理不尽と戦っていくお仕事かもしれません。何なら自分が生んだキャラクターとバトることもあるかもしれませんからね。つくづく不思議なお仕事だと思います。

もし、本当にVTuberが好きで、本当に親になってみたいんだ、といった方については、上記のようなことも起こりうるよということも想定したうえで、お仕事の依頼が来た際は皆さんに好かれるキャラクターが生まれるよう邁進していっていただけると良いかなと思いますが、この記事をご覧になっているイラストレーターさんの中で、前述の「拍」が欲しいがためにVTuberデザインをやってみたいと考えてる方は真面目な話、別のコンテンツで「拍」を付ける何かを見つける方が効率的には良いかもしれません。

また、これからVTuberの運営さんや魂となる方につきましては、ぜひ自分の関わるキャラクターをしっかり大事になさっていただいて、もし最後があるならば、その時までしっかりキャラクターに寄り添っていただきたいなというのが私の願いです。

6:今後のVTuberデザインってどうなると思います?

それでは最後に、余談ですし未来のことは分かりませんしなところですが、皆さんは今後のVTuberデザインってどうなっていくと思いますか? ここからは私個人の憶測で書いていきますが、今後のバーチャルYouTuberデザインは「より中の人を考慮したデザイン」のものが増えていくのではないかなと考えています。

記憶に新しい方もいらっしゃるかと思いますが、2019年11月中旬ごろに、常識の斜め上をイくオタク系クリエイター集団『株式会社いろはにぽぺと』さんから『次世代リアル活動型バーチャルAvatar』なるものが公表されましたよね。

『次世代リアル活動型バーチャルAvatar』はざっくりいうと、VTuberとして活動していくし、魂いわゆる中の人もリアルアイドルとして活動し、バーチャルとリアル双方で活動するアイドルのことを言うそうで、界隈的に難しい問題とされている「魂の公表」を前提とした形態とされており、発表当時は色々と賛否の声があったかのように思います。

界隈の中には「中の人を公表しているVTuberは苦手」と思われている方や、「公表なんてあり得ない」という方も少なからずいらっしゃるかと存じますが、そういった方々には酷な話、今後こういう「中の人が分かるVTuber」というのは増えてくるのではと考えています。

更に言うと、魂となる中の人の見た目をそのまま二次元に落とし込んで、二次元でも三次元でもマルチに活動していくVTuberというのが増えそうな気がしないでもないです。何ヶ月か前にテレビ東京の選挙特番で池上彰さんがVTuberとなって出てきたことがありましたが、それと同じような感じですね。

それってバーチャル必要なの? バーチャルでくくっていいの? といった疑問が付きまといますが、バーチャルの姿で活動している方を無差別的に「V」と呼ぶのであれば、これもバーチャルと呼べるのでしょう。

中の人を公表していくのってメリットあるの? という観点で見ると

  • 中の人を公表しているので身バレトラブル心配がない
  • バーチャルの姿と中の人の姿両方でファンを獲得できる
  • リアルイベントの開催がしやすい(中の人が出ていくので大規模なモニターやその他機材を省略出来るため)

といった感じで、ざっと考えるだけでも運営サイド、というよりビジネス的な視点ではメリットもあるのでしょうし、Vtuberで検索をかけると予測候補に「中の人」や「魂」「前世」というワードが出てくるくらい真っ先に中身が気になるという方は一定数いらっしゃるようですから、ビジネスモデルとしては至極真っ当な形態ではないかなと思います。中の人はVTuberとしての自分だけでなく、実際の自分も評価の対象になりますから、安易にあれこれ発言することの軽減やファンに対する意識も変わってきそうですしね。

……と、少し脱線しましたけれど、要するにこうなってくるとバーチャルありきで考えるのではなく、リアルありきでVの見た目を考えるパターンもあり得ます。デザイン的な制限が増えてきそうな気がしないでもないですし、元々の素材が決まっているならデザインするイラストレーターさんもなんとなく、デザインの発想力とかよりもとりあえず初動を稼げるインフルエンサー的立ち位置の方が選ばれていくような気がしないでもないですね……今も似たような感じかもしれませんけど。

〆だよ。

はい。ここから〆となります。

ここまでつらつらと書いてきた割に、最終的にはどういうことが言いたいのかよく分からない記事になってしまったような気がします。

今回筆を執ったのは、VTuber界隈の一部企業さんや魂さんのキャラクターへのぞんざいな考え方が悲しくなったことが主な理由、つまりイラストレーターの端くれとして「中身だけじゃなくってもっと生まれたキャラクターのことも考えてくれ」という嘆きを書きたかったからなのですね。普通こういう場合逆なんですけどね。外見より中身が大事だろ的な。

私としては、これからVTuberのデザインをやっていくイラストレーターさんに記事に書いたような悲しみを味わっていただきたくないし、VTuberになりたいという方にはぜひ自分のお姿を大事にしてほしいし、企業さんにはたかが絵だからって簡単に切り捨てないでほしいし、ファンの方は推しが引退したからといって「好きでした」なんて過去形で話をしないでいただきたい、推しの魂が転生したからといって「前の身体も嫌いになった」とはなっていただきたくないなというわがままな心でこの記事は出来ています。

VTuber界隈は本当に今後どのようになるかわからない発展途上なコンテンツですが、これからもたくさんのVが生まれ、そして消えていくことでしょう。

あなたがもし、この有象無象蔓延る界隈の中から大好きな推しと出会ったなら、その人のことはぜひ大切にしていただきたいなと心から考える次第です。

そしてもし、大好きな推しが残念なことに引退したり、魂を別の姿で見かけりしたとしても、推しのことを嫌いになったり忘れたりしないでいただきたいのです。四六時中とは言いません。時折想いを馳せていただくだけで良いのです。欲を言うなら、もしよければどこかでその想いを言葉に残していただくと良いかもしれません。もっと欲張っても良いなら何か創作物などを作っていただくと、きっと推しはとても嬉しいと思います。その人を生んだ方もおそらく同じような気持ちで私の子、愛されているなと感じることができるのではないでしょうか。

世の中辛いお仕事というのはたくさんありますが、VTuber界隈に関わることが辛い、のようなこととならないよう切に願うばかりです。

……では長くなりましたが、今回はこの辺で。ここまでお読みいただきありがとうございました。

今年も残りわずか、楽しくにこやかに。それではまた。

何言ってんだこの人。

Share

scroll up